SNSもコミニュティも何を囲い込もうとしているのか

 SNSもコミニュティもビジネスとして利用しようとすると、短期的にはメンバーカードや利用スタンプと同じレベルの(顧客の持続的な購買行動を誘発するプラスの)囲い込みの手段と考えられうる(長期的には、製品開発の情報源として捉えられるが)。

 カードやスタンプでは会員間の交流はほとんどなく、企業⇔個人の関係のみであるが、SNSやコミニュティは、メンバー個人間の関係が加わるという点が異なる。企業の意図から離れてしまうが、会員同士が交流して様々な話題で盛り上がる中で商品やサービスの良さが伝播し理解されるという、より強くかつ自然なプラスのネットコミを期待できる。プラスがプラスを呼び、多くの人を引きつけ購入者を増やすという意味において、SNSもコミニュティは(プラスの購買意欲の)囲い込みの強力の手段となるし、利用者としての意見の表明は(未来の購買意欲を生み出す)製品・サービスの開発にとっても大いなる援軍となるだろう。

 しかし、マイナスの口コミが生じた場合にはこの囲い込みの機能は問題を大きくさせる。マイナスがマイナスを呼び、メンバー間の諍いやそこを訪れた人が荒廃した雰囲気に嫌気を催し、購買を控えたり、他社の製品を購入したりすることになる。この囲い込みの作用は、暴言や非難の言葉を囲い込んでしまうのである。
 お買い物カードだけの時代では暴言は個人から企業へと向けられるだけであり、せいぜいその客の周辺の人まででその波及は止まったかもしれない。話し言葉は音であるためすぐに消え去るが、ネットに書かれた言葉は、訪れる人がいる限り幾度となく息吹を吹き込まれてしまうことになる。もちろん、snsやコミニュティの閉鎖という手段があるが、それもどこかのサイトに書き込まれ話し言葉以上の持続性を持つことになるだろう。
 マイナスの口コミが生じないようにする手段は、自由に書き込みさせておくなら、企業には見あたらない。マイナス面をできるだけ早く解消するような策を取るともに、新しい製品・サービスを速やかに開発して、顧客に満足してもらうという至極真っ当な方法しかないようだが。ほかに策はあるのだろうか?



ちょっと古いが、「成功例に見る企業サイトでのコミュニティ活用法」(2004/11/22)は一つの解か。