権益の負債化

YouTube−Google型企業になるための4つの法則

R30さんのエントリーの中で

インフラ志向型消費者参加型メディア」である。僕がそう考えたポイントを、以下にまとめてみよう。

として四つのポイントが出ているが、私が気になったのは第一番目のポイントだ。

1.標準技術ばかりをパッチワークのように使い、高付加価値なサービスを目指さない

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 つまりGoogleと同じで、技術的にはデファクト・スタンダードなものばかりを使い、いつでも誰でもやろうと思えばやれることをやっているのである。ところが、それが曲者なのだ。著作権侵害、暴力・グロ・エロ、検索やインターフェースの不便さ、不親切さ。「失うものを持つ」既存プレーヤーは、怖くてそんなところに手が出せない。それこそが彼らの思うつぼというわけだ。既得権者の資産を負債化する戦略である

 最後の「既得権益者の資産の負債化」という表現が面白いが、既にweb2.0の世界では一般的な表現なのであろうか。

(企業間の関係を、既得権の質的相違、および企業間の接触−−直接か間接か−−で分けると、
①同質権益の直接的争奪−−通常の競争−−、②異質権益間の直接対立−−デファクトスタンダード間の対立と覇権争い−−、③異質権益間の間接的対立−−共存の場合もあり−−に分けられそうだ。資産の負債化は③の場合に相当するが、多くのニューベンチャーは意図的あるいは結果的に③をねらっているのではないだろうか。ただし、負債化を強く意識して持続的にこの戦略を採り続けている企業は少なそうだが。)


 既得権益を打破する戦略ではそれを有するものたちとの直接的なバトルが即座に始まる。しかし、権益をもっていることが既得負債(権債?)となるような戦略は、初期の頃は権益が依然として権益であり続けるために(新しいサービスが権益保持者には理解できない方法やコンセプトで作り上げられているために)抵抗は少ないと考えられる。そして権益と権債の比率がある時点を境に逆転し、そのときからの抵抗では時は既に遅しとなるのかもしれない。



 ただし、圧倒的な権益保持者はそれまでに蓄積された資産を使って大逆転を計る可能性はある→フォロワーとしての強さ − Microsoft