所有していない経済

シリアルイノベーションのエントリー『ヤフオク→所有しない経済 補足


 所有しない経済は、リサイクルによってかなり実現されていると考えられそうだ.レンタルやリースなども所有しない経済ではないか.つまり,必要な期間に必要なだけ使ってその分だけを支払う.


 ただし、レンタルやリースは所有権が移転しない.が、リサイクルや今泉さんの例は、所有権がいったん移転するが、さらにそれを再び他人に移転するというものだ。リサイクルはその移転を媒介するのがリサイクル業者であり、個人から個人へ直接移転させるのが、オークションやバザー、フリーマッケトだ。


 かなりマニアックなものは自律的に適正価格が形成される可能性は高い。なぜなら互いに評価できる能力を持っているから。しかし、通常はその評価能力はない。いや。能力が必要でないものが売買されることが多い。


何を規準にしているかと言えば、

  1. 元々のブランド(←他人の評価に頼る)。
  2. 評価に失敗しても金額が安く、なおかつ満足度は低くても利用するであるため、あまり個人の財産などに大きな影響を及ぼさないものを購入。安い子供服。本*1

 いずれにしても販売価格が決まる。この販売価格が元々の品物の価値を決定するというのが、所有しない経済の重要な特徴であるかもしれない。


 レンタルやリースなども需給のバランスを通じて間接的になるが、リサイクルの場合「ものの真の価値」が直接分かる。ブックオフの前社長が述べていたように、半額で買われる本はまだまだ価値がある本。百円コーナーに回されて売れる本は少しだけ価値がある本。そこでも売れない本は一般的には価値がない(→私見です。あるいはよほどの希覯本か)。

ヤフオクやアマゾンユーズドなどで(ブックオフの場合は、彼らの仕入れ値はかなり低くいので、価値率もかなり低くなってしまう)
 
①定価1000円の本が、500円で売れる。購入者負担コスト500円
②定価1000円の本が、100円で売れる。購入者負担コスト900円
 
①の価値率  500/1000=50%
②の価値率  100/1000=10%


 価値率が低ければ低いほど価値のない本を買ってしまったということになる。もちろん受給の問題もあり、ベストセラーになればなるほどオークションなどに出品される数は多くなるので、真の価値よりも少し販売価格が低く出るかもしれないが、それでも価値があれば、すなわち内容がよければ購入者が次々に現れ価格の下落は止まる可能性は大である。


 このような率をたとえばアマゾンユーズドで計算できれば、最新作は無理にしてもある一定の期間がたった後なら、本の価値を量的に測定できる。二次流通価格を調べて一覧表にすることで、推薦コメントやレビューという質的な評価だけではなく、量的な評価も提示することが可能となる*2



あんまりまとめにならないまとめ。

 所有しない経済とはサービス経済か?

 これまでもかなり高額な耐久財は、所有することが困難な場合、サービスだけを提供する財−−必要な時必要なだけ使う−−となるもの(賃貸住宅なんかそうだ)があった。

 所有しない経済が進めば、あるいは所有しない経済が進展するためには、ほとんどの耐久財、あるいは完全消費財(野菜などの食品)以外はすべて、所有権の移転を伴ってはいるがサービス提供財となっていくということなのだろうか*3

*1:価格は自律的に形成される(好き勝手な価格をつけられる)が、低くしないと売れないので実売価格はかなり低くなる。

*2:問題は販売数量が少ないためユーズドにあまり出品されない学術書は、内容と関わりなく希望販売価格は少し高めになる。もちろん、希望価格が高ければ売れず、価値率を計算することはできない。量的な評価が成立しないことも多くなるだろうが、学者や専門家たちは自律的な評価能力を持つので、量的な価値率とは別の評価基準で価値ある本を選択できるから心配は無用なはすだ

*3:多くのホームセンターではいろいろな工具を時間単位、日単位で貸してくれる