★変化力ある対話へ向けて−−第三のアプローチ(あなたへの社会構成主義,第6章より)

★対立しあう多様な現実という問題と格闘している事例において,敵意を和らげ互いにより適切なやりとりを生み出させるためには,

  1. 視野の展開
    1. 内なる他者への視野:自分の振る舞いを「私自身」から切り離して評価する立場
    2. 連帯責任への視野:「私対あなた」から、「私たち」へ
    3. 集団への視野:個人を個人としてではなく、特定の手段や伝統、家族の代表と見なす
    4. システム全体への視野:個人からシステム全体へ
  2. 自己表出:ストーリーを語ること(ストーリー→①容易に理解できる、②多くの聞き手を惹きつける、③「抵抗」よりも「受容」を引き出す)
  3. 他者の肯定:肯定=相手の表出の中に同意したり支持したりできるような何かを見いだすこと。否定→存在の無視、好奇心=肯定のしるし
  4. 行為の調和:意味を作り上げること自体が調和した行為、共同構成
    1. リズムの調和:リズム=先行する行為をプラスの方向へ進めるような、あらゆる行為のあり方
    2. 言説の調和:連想、言い換え
  5. 自己内省−多声性 自己内省=自らの立場を疑問視する試み、異なる声を受け入れること。自己内省を可能にするのが「多声性」。

 対立から新しい世界共同創造へという展開は,既存からの解放と新たなものへの創造というように一般化できるだろう.
①視野の展開:内なる他者(複眼*1)→より広い集団への視点の移動
②自己表出:具体的な個人のストーリーを語れ*2
③他者を肯定せよ.(他者を受け入れよ)
④調和を目指せ.
⑤多声性から自己内省へ(これは①と関連している)
より簡潔にすれば,「自己の解放+多様な自己表出+他者の受け入れ+自他との調和


 とすると、「アンラーン」は、自己の既存からの解放(視点の相対化=内なる他者の生成)と他者の受け入れ(外部にある視点の確認と受容/否定)を意味することになりそうだ。
 

*1:知的複眼思考法―誰でも持っている創造力のスイッチ

*2:ストーリーを使って組織変革を語る。リスを人に見立てている。ユニーク。『チームリーダー―GE、IBM、シェル、マクドナルド、アメリカ陸軍のコンサルタント』、また経営学ではないが参考になるものとして、『人生を物語る―生成のライフストーリー』がある