ホスピタリティのコスト

 高い料金を支払えば、高いホスピタリティを期待することは当然だ。ビジネスクラスに乗れば名前(××様、お飲物をどうぞ)で呼んでくれる。高級ホテルに泊まれば自分の要求することが頼まなくても満たされている(ベッドサイズ、枕の堅さ、好みの新聞など)。
 この程度の上質さは、それ以下のクラスでの料金差を考えればあまり上質なホスピタリティとは言えない。部屋の広さ、ロビーの豪華さ、テラスの広さなども同様だ。しかし、低価格で上等なホスピタリティを望むこともむずかしい面がある。設備、システム、人材を維持するためには種々のコストがかかるからだ。コストを賄えないような料金では長く上質なホスピタリティを維持はできない。
 ではどうすれば上質なホスピタリティを提供できるのだろうか。


【公式】 
ホスピタリティ=実際のサービス−期待
   期待=f(料金,体験)
  体験=f(個人的体験、他者の体験)

 1.ストレスを感じさせない:上記の式の各項目を大きく変化させることができにくく、そして差がどうしてもマイナスかあるいはほぼゼロに近い場合(ホテルでのチェックインをなくすことはできない。それに待たされることが多い→専用チェックインカードを発行してそれを出すだけでチェックインの際に何も書かなくても済む。そして専用カウンターがある等)

 2.ささやかなプラスアルファがある:式の結果がマイナスではないが各項目ともに動かしがたい時には、何かを加えて外見的なホスピタリティを高める(低料金、狭い部屋、壁が薄いビジネスホテル→折り鶴を置く;どこのホテルか知っている人は知っていますね。(^^;) )

 3.かなりの驚きがある:期待を上回る仕掛けを作り置く。一人に対して個別のサービスを行うとすれば赤字になるが、複数の人に提供できれば(同時でも、経時的でもいいが)少々高コストのものでもペイするだろう(高層ホテルの夜景。大きな窓、部屋の広さ、ラグジュアリーな内装←泊まってみたいものだ。(T_T) )
 
 上の式は総合的な計算式としても使えるが、実際上は個々のサービス提供(イベント→『価値共創の未来へ』での用語))において使うべきである。この式に基づき、それぞれのホスピタリティの向上に努めるべきだ。そして、もっとも強いストレスがあるイベントが真実の瞬間にならないように、ここに資源を集中して全体のホスピタリティへの悪影響を防ぐことが必要となるだろう。どんなにステキな部屋に通されても、チェックインカウンターで永遠と並ばされれば不満は残る。人によっては、通された部屋が豪華だとその悪夢が吹き飛ぶ人もいるだろうが。