既存の力を引き出す

  新しさを生み出すために,既存のものの間に新しいつながりをつける.それが創造だろう。その新しさとは何か。どうすれば新しいものを生み出せるのかということは重要だが、それについて考えることは別の機会としたい。


 問題は、「既存のもの」と「新しいつながり」ということだ。今まで結びついていなかった既存のもの同士を結びつけるとなぜ新しいものが生み出されるのだろうか。


 ある意味では当たり前かもしれない。タイヤとピンクを結びつけると、ピンクのタイヤが生み出される。タイヤは黒しかみかけない。だからピンクのタイヤを生み出すのは創造的だ。


 そんなのは簡単だって?これぐらいは創造的とは言えないと考えられるかもしれませんが、コレを読んでみて下さい(なかなかイノベーションはむずかしいそうですねぇ?少なくとも材料あるいは添加剤?の革新が必要となります)。


 しかし、読んだ後で、なるほど、そうかっ、だからピンクは無理と思ったあなた。創造的ではありませんぞ。カーボンブラックと他の着色剤を混ぜてはいけないのでしょうか?


 黒以外のタイヤは売れないと考えてみたあなた。人の履く靴は黒だけでしょうか。なぜ車の色は多様なのに、タイヤだけは一色だけなのでしょうか?(フォードT型の時代でもないのに)。

 

タイヤはたくさんの部品を使った精密な工業製品なのです。

 タイヤは工業製品なのですね。もちろんそうでしょうが、最終消費財でもあるはずです。色は重要な競争優位性の一部。命を乗せているタイヤの機能性はもちろん重要。だけど、その上でデザインや色はなぜ加味されないのでしょうか?


 少し話がそれましたが、どうやら創造性の定義の中には、結びつきの力と既存のものが持つ力の相乗作用が働いていそうです。カーボンブラックの力、黒という色の持つ意味(力強さ、荘厳さ等々)の強さ。ピンクの意味(かわいらしさ、陽気さ。妖艶さ等々)。それは既存のものの力です。


 これらの力を越える新しいものを生み出すか(カーボンブラックを越える添加剤を見つけるか)。結びついていない力同士を結びつけて新しい力や意味を生み出させるのか(ピンクのタイヤで新婚旅行へ)。いずれかを選ぶ必要がある。


 もし前者でなければ、既存のものの持つ力を深く意識して、その強さを活かすために他の力との結びつきを熟考しなければならない。どれとどれを結びつければ、より力の大きなもの、あるいは意味あるものが生まれるか。


 それは特性を左右に並べて適当に結びつける方法からは生み出されない。特性そのものが持つ力を深く考えていないからだ。もちろん、新しいと考えられる結びつきはランダムカップリングの方が多数になるだろう。しかし、表面的な新奇さはいずれ飽きられ、またまた新奇なものを作り出すための長い長い苦闘が始まる。


 具体的な提言は全くないが、一つ言えることは今自分たちが持つ既存のものの強さを頭の芯がしびれるまで考えに考えたかということだろう。確かに、ほんの一瞬でそれが分かる場合もあるが、そればかりに頼ってはいられない。考えに考えよう。それが今ただ言えることである。 m(_ _)m 


いかん。9月26日も書いたが、以下の本を買ってあるのだが、まだ読んでいない。はよ。読まないと。