ブログと英知

Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル(前編)のブログと群衆の英知 より

RSSの重要性は、多くの人が指摘している。

ブログを特別なものにしている要因のひとつは、RSSと呼ばれる技術である。 RSSはウェブの基本構造に重要な進化をもたらした。………RSSを利用すれば、ページにリンクを張るだけでなく、そのページを講読し、ページが更新されるたびに通知を受け取ることができる。Skrentaはこれを「インクリメンタル・ウェブ」と呼ぶ。「「ライブウェブ」と呼ばれることもある。

ライブウェブの新しいところは、ページだけでなく、リンクも動的である点にある。ブログにリンクを張るということは、変わり続けるページにリンクを張ることに等しい。個々の記事にリンクを張るときは、「permalink」を利用する。ブログに更新があった場合は通知が届く。このように、RSSフィードはブックマークしたり個々のページにリンクを張るよりも、はるかに強いつながりを生み出す。


permalinkには注目していなかった。確かに、多くの論考の中の自分が言及したいそのただ一つの論考にダイレクトにリンクできるなんて、素晴らしい。

しかし、ブログを一般的なウェブページと異なるものにしているのはRSSだけではない。Tom Coatesはpermalinkの重要性について、次のように述べている。
 「……ささいな機能のように思えるかもしれないが、permalinkの登場によって、ブログは簡単に情報を発信できるツールから、コミュニティが交錯し、会話が生まれる場所に変わった。permalinkによって初めて、比較的簡単に他者のサイトの特定の記事について意見を述べ、サイトの所有者と話をすることが可能になった。議論が生まれ、チャットが始まった。その結果、友情が芽生え、あるいはより強固なものとなった。permalinkはブログとブログを結びつける初めての、そして最も成功した試みとなった」(Coates)

知の創造に関係している。

Web 2.0の本質が、集合知を利用して、ウェブを地球規模の脳に変えることだとすれば、ブロゴスフィアは絶え間ない脳内のおしゃべりを、すべてのユーザーが聞いているようなものだ。これは脳の深い部分で、ほぼ無意識のうちに行われている思考ではなく、むしろ意識的な思考に近い。そして、意識的な思考と注目の結果ブロゴスフィアは大きな影響力を持つようになった。

 …………ブログ・コミュニティはきわめて自己言及的であるため、ブロガーが他のブロガーに注目することで、ブロガーの存在感と力は増幅していく。しばしば「反響室」と批判されるブログは、増幅器でもあるのだ。

 もっとも、単なる増幅器であったなら、ブログはつまらないものになっていただろう。しかし、Wikipediaが体現しているように、ブログでは集合知が一種のフィルターの役割を果たしている。James Surioweckiが「群衆の英知」と呼んだものが働き、PageRankが個々の文書を分析するよりも優れた検索結果を生み出したように、ブロゴスフィアではユーザー全体の注目が、価値あるものを選び出す

この点に関しては反論があるようだ
Web 2.0 - O'Reilly論文への疑問
 
 
 確かに,小集団の理論では,グループシンク(集団浅慮)によって,集団の思考は個人の思考より劣るという指摘がある.学問的な定義もいいがコレなんかもとてもわかりやすい。

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