ホスピタリティとの関連性あり

ホスピタリティは、個別の顧客のニーズに個別に応えることとされているから。


顧客志向のサプライチェーン;市場の不確実性をビジネスチャンスに変える方法

ある書店に3人の客が入って来た。最初の客は銀行の重役で、会議の合間の10分を使って新しい本を探しに来たのだった。この客の来店の目的は、本を買って仕事に戻ることだった。

2人目の客は建設現場の作業員で、姪の5歳の誕生日のプレゼントを探しにきていた。この客は、プレゼントにふさわしい本を買うのに店側の助けを必要としていた。助けになるものなら、知識の豊富な店員でも、店内の検索装置でも、あるいは、書棚のわかりやすい配置でも何でもよかった。

3人目の客は、全く違うタイプの消費者だった。自由な時間を使って優雅に買い物を楽しみたいと考えている年配の女性客で、彼女にとっては店内を見て回るだけでも満足だった。この女性が本を1冊でも買うかどうかの確率は50%ほどだったが、遅めのモーニングコーヒーを飲みに本屋に併設されたカフェに立ち寄る可能性は十分にあった。

上記の書店の客の様々な要望は、サプライチェーンの終端部分(=小売店舗)の経営は一筋縄ではいかないことを示している。顧客にどのようなショッピング体験を提供するかを決めるには、顧客の分類とチャネルマネジメントの2つを行わなければならない。顧客の分類(顧客のニーズや要望、購買行動、パーソナリティの特定と理解に基づいて顧客を分類すること)によって各顧客に適したショッピング体験を提供することが重要なのである。顧客がどのようなショッピング体験を望んでいるかを理解し、その体験に最適のセールスチャネルを選んでサービスを提供する。こうしてサプライチェーンの運営を最適化していくことによって、出版社、流通業者、そして書店にも、新たな顧客志向の経営モデルをバリューチェーン全体にわたって実施する大きなチャンスがもたらされることになる。