できない人(組織)は、できる人(組織)の知識だけではできるようにならない。

ナレッジ!?情報共有のエントリー『ニワトリを殺すな→ナレッジマネジメントって何だろう』より

例えばこの本のモデルになったホンダはワイガヤというツールで独創性をもった研究開発を行っているし、トヨタのなぜなぜ5回などの業務改善も現場での知識発掘を実践に直結させたすばらしい仕組みである。その他にもリクルートのように、日々の活動の中で面白いアイデアや提案を共有・再活用したり、その保有者の人脈を生かして営業活動をしている企業には、改めてナレッジマネジメント”なんて必要ないと思うのだ。
 
 ただ、こんなことをできる企業はやはり数が少ない。だからこういう企業を追いかけたり目指すために何かの施策が必要で、その中のひとつが“ナレッジマネジメント”であると思う。“ナレッジマネジメント”という旗印をつかって、ワイガヤできるような風土や地道で着実なQC活動の定着や営業の活性化を目指すのだと。すなわちそんな「企業風土」を浸透させることが目的でありゴールではないかと。

 できる人に、なぜそんなことができるかと尋ねても答えられなかったり、あるいは簡単な解答しか得られないことがある。その解を基にただ似せてもうまくいかない。そこで、できる人の行動をじっくり観察して、その中から重要だと思う真髄を取り出し、仕組みに転換させる。その仕組みがうまく機能しているかについて絶えず細かくチェックして、当初の効果が得られるようにする(科学的管理法的知識管理←長い)。

 仕組み構成→プロセスチェック→効果の測定
            測定結果に基づいて、以下のいずれか
                 →仕組みの再構成
                 →プロセスの再構成
                 →チェック基準の点検、タイミングの再考

 によって、できる人、できる組織に追いつこうとする。しかし、これだけではできない人(組織)はできるようにならない。

 なぜなら、できない人、できない組織にはできない理由が別にあるはずだからだ。そのため、できない仕組みの観察、できない真髄の抽出、そしてできない事象を再現させないようにする仕組みの構成も同時に行わなければならないだろう。
 
 よい知識や何かをなす事を可能にする知識の管理(資産的知識管理)だけではなく、何事かを不可能にする、あるいはさせない知識の管理(負債的知識管理)も欠かせないはずだ。