ENIGMA VARIATIONSのエントリー「リソースの問題か?」より


あるセミナーに参加したということを受けて、

もともと自分の仕事はマーケティングではないので、直接的に仕事に結びついてはいないからだが、しかし、得た知識を社内に伝えることで、担当者がヒントを得ることができるかもしれない。そこで今回の内容をレポートとして社内に伝えるか、というのが一つ。

(ちなみに、担当者の感度に引っかかるかはその人次第だが、おおっぴらにレポートを社内に発信する方法はある。)

もう一つは、この得た知識を今の仕事で活かす方法はないか、探ることだ。セミナーの内容はマーケティングという商売の話なので、そのまま応用するのは難しいかもしれないが、一方で手法そのものは今の仕事で目指している方向と極めて似ている。そこで、考え方を整理し、社内に伝えていく際に役に立つかもしれない。

メモの整理をしてみないと何とも言えないが、本当はどちらも行うのが理想だろう。後者はともかくとして、前者は後は自分のリソースの問題だ。

前者は事実を丸ごと発信

  1. 情報ソースとして利用される。
  2. まとめたのは自分だけいろんな人の利用が可能。
  3. 利用者に対してコストのし払いを求めることができないか、かなり困難。

後者は内容をまとめて発信し、仕事に使う

  1. 情報ソースだけでなく自らの考え方に利用しているので、すでに自己の利用が終了している。一応ベネフィットがある。
  2. 自分の見解として社内に発信できるので、発信元は自分であるという主張が可能になる。
  3. 他者の利用は二次的なので何らかの対価の支払いがなくとも自己の費用便益計算上、少しだけかもしれないが、気にならなくなる。

・・・リソースの問題だ、としたいのだが、さて、自分自身がコストを払って得た知識をこういった形で提供していくことにまったく抵抗がないかといえばそんなことはない。このあたりはナレッジマネジメントでも一番問題になる点だ。

 確かにその通りだろう。でも二つ考えられる。もし、マーケティング部門に友人がいた場合、一緒に酒などを飲みに行ったおりには、話題の一つとして提供するということも考えられる。そのときには、コストを支払ったかどうかはあまり考えないだろう。①友人との間の贈答−−友情を深める、確認するための−−として、ちょっといやな言い方だが曖昧な形での貸し借り−−これもまた友情の一部−−となる。②マーケの専門家としての反応を見る。自分が面白いと思ったところに反応するかしないか、反応したとして同じ反応かどうか。そして自分の見解をどのように評価するか。などを楽しむ。これらの反応は講演に参加したコスト以上になるかもしれない(ならないかもしれないが)。

 もう一つは、エントリー自体は要約や要点だけを載せるというものだ.釣りの時に使う撒き餌と同じだ。核心をわざとすこし見えにくくする、あるいは少しだけ見えるようにしておく。そこに飛び込んできた魚(他の社員)を針のついた餌(リソース)に食いつかせるというものだ。

 「この間のエントリーのについてちょっと聞きたいんだけど。」「これはどういう意味」「なんかおもしろそうだね」という反応が出れば、餌に食いついたということになる。核心をすべてエントリーしてしまえば匿名(もちろん足跡を取ることはできるだろうけど)で利用されることは避けられない。

 しかし、上のような反応をもらうとかえって応えなければならず手間になると考えられるかもしれない。しかし、そのために自らのリソースとして、講演の内容(核心部分)をしっかりとまとめておくべきである。まとめたものを相手にとりあえず渡す。こうすれば匿名性によるフリーライダー問題をある程度回避できるかもしれない。そして、必ず「この間渡したレポートはどうだった」と聞き、相手から反応をもらうことにすればいい。そうすればリソースに新たな要素が加わり、自分のリソースをすこしでも豊かにできるはずだ。

 ただし、中にはレポートを読んでいろいろと参考にしたくせに、「特に意見なし」などと解答を寄せた人間は、ブラックリストに載せておき、次の機会ではリソースを提供しないことにすればいい。

 要はリソース提供にコストがかかるとしても、どんな内容でもいいが他のメンバーからもらえる反応をベネフィットとして捉えられば、コストをいくぶんかでも減じられるはずだ。時にはベネフィットが上回るということも起きるかもしれないという期待ももてる(淡い期待かもしれないが)。