イノベーションを普及させるには

 前にも一度この論文『分析・提案> ロジャースの普及理論〜環境配慮行動の普及への適用について』の存在を指摘したが改めて読んでみた。ロジャースの普及の理論とキャズムの理論の関係が簡潔に記されており、入門の入門としては良いまとめになっていると感心した。

 エベレット・ロジャーズは、トウモロコシの新種等の普及過程を分析し、1962年に「イノベーションの普及学」という本を著した。ロジャーズが言うイノベーションとは、まだ社会に普及していない新しいモノ(商品等)、コト(行動等)を意味する。
 新しい商品の購入者が増加する様子を、時間の経過に従って描くと、S字型の曲線になる。この採用速度によって採用者を、「革新者」、「初期採用者」、「前期多数採用者」、「後期多数採用者」、「遅滞者」と分類している。ロジャーズによると、革新者は2〜3%、初期採用者は10%強といわれ、多数採用者は70%弱、遅延者は15%だと分析されている。


↓上記論文中の図


 ロジャーズの普及理論に対する欠陥を唱え、ロジャーズのイノベーション普及理論を進化させたのがキャズム理論である。この理論ではロジャーズでいう5つの採用者分類の間には不連続な関係(クラック(隙間))があるという。ある採用者分類に対して、ベルカーブ上でその左に位置する採用者分類に対するのと同じ方法で製品が提示された場合には全く効果を発揮しない。それは、顧客グループによって製品を購入する目的が異なるからである。

↓上記論文中の図


このクラックがどのようにしてできているのかを調べる必要がありそうだ。

それには、以下の二冊を読まねばならない。

キャズム


ライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーション