郵便局はどこだ?

 新しい土地に行って郵便局を探すほど大変なことはない。まず駅に前にない。コンビニや銀行なら、特定の企業を探さない限り駅前にある。郵便局は商店街にもないことが多い。少しはずれたところで営業している。


 ではどこにあるのか。所在場所に関して一定の傾向があるのだろうか?その傾向を調べた物があれば知りたいわけだが、ただし、その一定の傾向を知ったとしても、特定の場所に役立つことは少ないだろう。


 携帯で場所を検索すればいいじゃないか。という意見も一理はある。しかし、年寄りや携帯に金をかけたくない人(→私のことだ)にはそれは選択肢にもならない。


 地元の人に聞け。これが一番安上がりだ。しかし、道行く人を止めるのも、商店主に商売以外のことを聞くのもちょっとだけ気が引ける。できるならポストに地図を貼り付けておいて欲しい。ポストならちょっと探せば目に付く。


 そんなサービスはおそらく期待できないであろう。なぜなら、郵便局はその位置を初めて探すような人を商売の相手とはしてこなかったからだ。郵便局の位置情報を提供しないのは、ほとんどが地元の人相手だからだ。新しく転居してきた人も初回は迷うが、次からはもう迷わない。郵便局は不特定多数の人を相手に商売をしていない。その必要もなかった。


 その上、郵便事業、金融事業(振り込み、貯金、保険、送金等々)なども兼ね備え、業務的なコンビニエンスストアだった。こんな便利なところなら案内をしなくともその便利さに引きつけられて人が自然によってくる。


 しかし現代のコンビニは、業務的な便利さだけではなく、地理的な便利さも、その競争の指標として取り入れている。コンビニが駅前や商店街、街道沿いにあるのがよい例だ。今では大通りにさまざまな店が、文字通り列をなしているのは地理的なコンビニエンスを求めてのことである。


 郵便局にはそのロケーションを競争優位性の核に据える気はないのだろうか。反面、業務の利便性をコンビニに徐々に譲り渡してしまっている。コンビニは、切手を売り、振り込みをし、ポストを備え、ATMまである。


 さらに、若者をはじめかなりの人が手紙を書かずメールを送り合っている。文書も郵便を通さず配達されている。普通の郵便はもうあきらめて、特殊な郵便物の処理−−書留等−−に特化していくつもりなのだろうか。もちろん、特殊な郵便物が一通あたり、通常の郵便に比べてきわめて高い利益率であれば、そこに特化するという焦点化戦略も考えられないわけではないが。


 業務のコンビニエンスの優位性が減少している現在、ロケーションのコンビエンスを競争上の武器として利用するという考え方に転換してもらいたい物だ。