マイクロイノベーション

デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方

p.31

クレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』が有名である。だが彼の研究はマクロレベルのイノベーションの研究である。これとは異なり、最近注目されているイノベーションはミクロレベルのものである。どのようにして顧客の気持ちに訴えかけるか、そのために研究と開発と顧客のニーズをどのように結びつけるのか、さらにはこのようなイノベーションを継続的に行うためにどうのようにすれば従業員のやる気を引き出して、自発的に創造的なイノベーションに挑戦する気になるのか、そういったことを考えるのが新しいイノベーション論である。新しいことをおこなうためには企業は組織を変革して企業価値を変えていかなくてはいけない。

デザイン・プロセス p.41

消費者を観察することでアイデアを見つけ、それを実行できるコンセプトを創り、形を考え、メカニズムを考案して設計し、実装し、消費者に渡すまでの製品やサービスづくりの流れ

pp.43-44

IDEOのティム・ブラウンによれば、デザイン思考は次のような順序で実現される。
●フィールドで観察する
●自由なアイデアブレインストーミングを通じてつくりだす
●プロトタイプをつくって考える
●物語をつくる

プロトタイプをつくるということは評価のプロセスである。こうした作業を通して、最初から抽象的で整合性のとれた戦略ではなく、プロトタイプをつくる中で検証された戦略をつくっていく。

コリンズは、イノベーションには創造性と実装能力の二つが必要だと述べている。イノベーションができる人間とは新しいアイデアを思いつくことだけではなく、それを実現する方法論を知っている人間のことである。