きわめて、私的なメモ。少額決済バーチャル経済圏

 かなり遅ればせながら、『ウェブ進化論』を読み終えた。


 小銭の代替品としての電子マネーを語るとすれば、それは「こちら側」の世界のことでしかない。では、電子マネーのあちら側とは何か。あちら側での活動に対する支払いはいずれにしてもこちら側の「カネ」である。いくらデジタル情報化した数値によってカネが現されるとしても、あちら側で使用できなければ、こちら側で使うしか他にない。


 あちら側で大金が動くとすれば、こちら側の当局も目を光らせ、ロンダリングに使われないかを監視するだろう。また、しかし、こちら側とは違い、あちら側には、個人的な努力で生み出された価値(多くの場合は無償で)に対して、少額でもいいから、謝意を表したいという思いがある。たとえば、シェアウェアなどがそうだ。シェアウェアなどでいろいろとお金の回収方法が考えられたが、クレジットカードや振り込みではいくらウェブ上でかのうだとしても、少し躊躇して最終的にお金の支払いをやめてしまう。


 そこで、電子マネー(特に前払いがいい。情報を取られても最大5万円だ。そんなに入れている人はいないだろうが)で、対価の支払いや寄付を行えれば、あちら側独自の経済圏が成立しそうだ。もちろん人間は物理的・生物的存在なのでその得た電子マネーをこちら側で消費しなければならない場合が多い。


 しかし、デジタル化した情報が次々に進むとすれば、、googleの書籍スキャン(これは無料?)、アマゾンのページ単位ので本の販売計画、今でもあるがPCソフトや音楽ソフトのネット販売など、あちら側だけの消費品目が増えていけば、リアルに流れてこない電子マネーの量が増えるかもしれない。


 もちろん供給側は、その電子マネーをリアルマネーに変化する可能性は高い。しかし、音楽ソフトを開発する人に対する対価が、電子マネーで支払われ、その人たちが電子マネーで生活をしていくとすれば、供給側でも電子マネーがそのまま残る可能性が出てくる。電子マネー電子マネーとして残り、少額決済手段として認知されていけば行くほど、少額×大量=大金という目論見から、既存企業の手によるさまざまな情報の切断による少額品が(例:本のページ売り)出現するだろう。


 あるいはネット上でこれまで無料で公開していた部分情報が価値に転換する(海外旅行で個人的に集めたささやかな情報を見るのに10ページ1edyとか1suicaというように金額が設定されはじめるかもしれない)。その決済を助けるための企業が出現するかもしれない。


 googleのように利用を無料にしつつリアルマネーを極限に活用する企業と、ほんのわずかな情報に対してさらに細かい電子マネー価値をつける個人というように二極化しながらバーチャル経済圏は形成されていくかもしれない。