ストーリーテリングが経営を変える

ストーリーテリングが経営を変える―組織変革の新しい鍵
John Seely Brown
同文館出版 (2007/09)
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p93-97 ◆抽象、一般性、語り
 デカルトが個人の精神に着目し、命題としての知識という捉え方を中核に据えたことにより、抽象に焦点が当たった。…………。一つには、抽象度が高いほどより多くの機会に適用できるという点だ。当然、役に立つ知識を望むならば、抽象的な知識でなければならないことになる。…………
 一般性の獲得を抽象と同じものと考えるのは、デカルト派の信念の300年の歴史から引き継いだもっとも基本的な誤りの一つである。われわれが知っている一般化は、抽象と同じものではない。もし信頼性のある抽象が得られるならば、多くの場面に適用できることはなるほど真実だ。しかし、別の方法で一般性に到達できることもまた真実である。一般性に至るもっとも有力な方法の一つは、それがいかに特殊なものに根ざしているかを示すことであり、われわれはそれを語りにおいて行っているのだ。
 語りとは何か? それは、ある特殊なものから強力な理念を構築することだ。物語はすべて特殊なものから生まれる。語りは、様々な特殊なもの、すなわち文脈に埋め込まれたものを一つの寓意、あるいはストーリーの核として統合することなのである。
 この二つの要素−−多様な文脈と寓意としての適切さ−−が、物語を新たな状況に適用することを可能とする。時に、適用可能な範囲は、実に幅広いものとなる。語りは、ストーリーの核となる部分を状況から引き出し、新たな状況に位置づけることによって一般性に至るのであり、抽象とは根本的に異なった方法なのである。

 抽象は、ある具体的なことから本質をつかみ出すことであるとすれば、物語と同じになる。
 その本質が、抽象では真実であるのに対して、物語は意味(寓意)となる。意味はそれを示す記号(コード)と文脈(コンテキスト)がセットになって成立する。
 
 物語の特殊性→コードが特殊な場合、コンテキストが特殊な場合、そしてそれが組み合わさった場合。
  いずれにしろ、意味も特殊になる。どうやって一般化できるのか。もっと先を見てみないと・・・・・