心的活動とは


 「身体は心について何を教えてくれるのか」 鈴木貴之 (UTCP)(PDF)

現在の心の哲学・心の科学における標準的見解
1.心とは、身体の内部、脳の内部という意味において、ある主体にとって内的なものである。(個体主義)
2.心的活動は、脳が外界を表象する働きと、その表象を用いたさまざまな過程からなる。(表象主義)

ここ二十年ほどの間に、われわれが身体を備え、環境の中で生きているという事実が、心を理解する上で決定的に重要であるということが、多くの論者によって主張されている。身体化された心に関する最大公約数的な主張は、以下の三つのテーゼとして整理できる。

1.知覚経験の本性に関する主張:われわれの知覚経験は身体と不可分の関係にある。

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2.心の拡張に関する主張:身体や環境は心的活動の可能性を拡張する。

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3.身体・環境システムに関する主張:心的活動は身体・環境システム全体の活動である。
心的活動とは、脳の内部で生じる過程ではなく、身体を持った主体と、それを取り囲む環境からなる一つのシステム全体の活動である。